戦時下の動物園: 天王寺動物園の悲劇と命の記憶を辿る
大阪の天王寺動物園で、戦時中に殺処分された動物たちの剥製や資料を展示する企画展「戦時中の動物園 ~語りつぐ、いのちの記憶~」が開催されています。この企画展は、戦争が命や日常に与える影響を、世代や国籍を問わず実感できる貴重な機会となります。
戦時下の動物たちの悲劇
第二次世界大戦中、天王寺動物園では、空襲による檻の破損を恐れ、ライオン、トラ、ヒョウ、ホッキョクグマなど、多くの大型動物が殺処分されました。毒入りの餌やロープで絞め殺されるなど、その方法は残酷を極めました。また、食糧不足や暖房の欠如により、ゾウやキリンといった動物たちも命を落としました。1939年には4354頭いた動物が、終戦時にはわずか447頭にまで減少しました。
企画展の見どころ
今回の企画展では、殺処分された動物たちの剥製、当時の写真、資料などが展示されています。また、アニメーション『どうぶつたちのねがい 戦争中の天王寺動物園』の上映や絵本の展示も行われます。戦時中には、「敵性語を排す」として、ライオンが「獅子」、チンパンジーが「黒猩々」と呼ばれるなど、言葉狩りが行われたことや、動物に軍服を着せたり、防毒マスクを装着させたりして戦意高揚に利用した歴史も紹介されます。
ミュージアムトーク開催
8月9日、11日、15日、17日には、スタッフが企画展の見どころを紹介する「ミュージアムトーク」が開催されます。各日17時から15分間、TENNOJI ZOO MUSEUMに集合してください。
開催概要
- 会期:8月6日~8月31日
- 時間:9時30分~16時45分(8月9日~11日、15日~17日は19時45分まで)
- 場所:天王寺動物園内 TENNOJI ZOO MUSEUM
- 入園料:大人500円、大阪市内の小・中学生は無料(要証明)、市外の小・中学生は200円
戦後80年を迎え、戦争体験を語れる人が少なくなる中、この企画展は、戦争の悲惨さを後世に伝える貴重な機会です。ぜひ天王寺動物園を訪れ、命の尊さを改めて感じてください。