広重と野村胡堂:浮世絵が時代小説に命を吹き込む!岩手で特別展
岩手県紫波町出身の作家、野村胡堂は、「銭形平次捕物控」で知られるだけでなく、江戸時代の浮世絵師、歌川広重の熱心なコレクターでもありました。現在、紫波町では、胡堂が収集した広重の作品群と、それらが胡堂の作品にどのような影響を与えたのかを探る特別な企画展が開催されています。
広重の浮世絵が胡堂の創作活動に与えた影響
「シューベルトやブラームスを聞いて、広重を眺めながら銭形平次を書くのが私の仕事」という胡堂の言葉が示すように、広重の作品は彼の生活と創作活動に深く根ざしていました。野村胡堂あらえびす記念館では、胡堂がコレクションした歌川広重の「東海道五十三次 行書版」57点のうち16点と、野村胡堂が東海道を舞台に描いた「三万両五十三次」や「花吹雪東海道」「敵討道中双六」などの小説、合わせて60点以上の資料が展示されています。
展示作品の一部をご紹介
- 日本橋: 東海道五十三次の起点である日本橋を描いた版画。魚屋が魚を売り歩く様子や旅人の姿が、当時の活気を伝えます。
- 小田原: 「酒匂川かち渡し」の風景。橋のなかった酒匂川を、旅人が人力で渡る様子が描かれています。
- 沼津: 天日干しでカツオブシを作る様子が描かれています。当時の生活風景が垣間見えます。
- 三万両五十三次: 幕末の日本を舞台に、アメリカとの条約締結許可を得るため、三万両という大金を京都に運ぶ物語。攘夷派の武士や盗賊に狙われる波乱万丈なストーリーです。
この企画展は、浮世絵が小説に与えた影響を深く理解する貴重な機会です。広重の美しい風景描写と、野村胡堂の時代小説の世界観を同時に楽しむことができるでしょう。ぜひ足を運んでみてください。